額縁のオーダーとは?
日本では、「額縁を買う」というと、額縁店や画材屋で四角形に組み上げられた額縁の中から、自分の作品に合った額縁を選んで購入することをイメージされると思います。
しかしながら、欧米で「額縁を買う」というと、額縁に入れる作品を持って額縁店へ足を運び、作品に合わせて、フレームの色、デザイン、サイズ、マットの種類や色、ガラスの種類などを額縁店のスタッフと相談しながら、「一から額縁をオーダーする」という方法が一般的です。
日本でも、額縁のオーダーを専門に行っている額縁店は多く存在しますが、まだまだ馴染みが薄いのが実情です。本記事では、額縁をオーダーするための基本とポイントを分かりやすく解説しています。
既製品では味わえない、オーダー額縁の魅力を一人でも多くの方に知っていただければ幸いです。
オーダーするメリット
作品の魅力を最大限に引き出せる
額縁を使う理由の多くは、「作品を良く見せたい」「素敵なインテリアにしたい」といった理由ではないでしょうか?!
オーダー額縁なら、作品のテイストや色、額縁を掛けるお部屋の壁紙の色や家具までも考慮して、作品に最適な額縁をじっくり選ぶことが可能です。
額縁は焦って選ぶ必要はありません。欧米人たちは、納得が行くまで額縁店に足を運び、まるで家具を選ぶかのように、額縁を選ぶのです。
1ミリ単位でサイズオーダーできる
既製品の額縁の場合、額縁のサイズは、「インチ」「四切」「A4」「A3」など、規格サイズが決まっていますが、オーダー額縁の場合は「1ミリ単位」のサイズオーダーが可能です。
例えば、スカーフなどの布地をぴったりサイズで額装したい場合や、作品の周りに大きな余白を設けて額装したい場合、厚みのある作品を額装したい場合などにも、オーダー額縁なら対応が可能です。
特に、作品周りの余白の取り方で、額装品の見え方や印象は大きく違って来ますので、作品にこだわりのある方は、サイズオーダーがおすすめです。
多くのフレームデザインから選べる
既製品では、フレームのサイズ、色、デザインなどが限られてしまうため、少ない選択肢の中から、作品に似合いそうな額縁を選ばなくてはなりません。
オーダー額縁の場合、モールディング材と呼ばれる長い棹材の中から、気に入ったデザインや色のフレームを選んで、四角い額縁に仕上げてもらうことができます。モールディング材は、シンプルなものから、アンティーク調、和風、モダン、可愛い系など、200〜300種類といった非常に多くの種類が存在します。
また、フレームに合わせるマットや、表面ガラスの種類などについても、様々な種類が用意されています。
専門スタッフに相談しながら選べる
さて、ここまでの説明で、「沢山のフレームから選べるのは良いけれど・・・自分に選べるかしら・・・」と思った方もご安心ください。
オーダー額縁は、フレーム選びから、製品の製作、そして商品がお手元に届くまで、額縁の専門スタッフがしっかりサポートいたします。
わからないことや、自分では決められないことは、遠慮なく額縁店のスタッフに相談してください。
お店に作品を持参していただくのが確実ですが、まだ相談の段階でしたら、「作品サイズ・厚み」「作品の種類(油絵、ポスター、水彩画など)」「作品のテイスト」「額縁を掛ける場所(壁紙の色)」「好きな色」「希望の仕上がりイメージ(シックにまとめたい、高級感を出したい)」などをお伝えいただくと良いでしょう。
額縁をオーダーするデメリット
納期が掛かる
額縁の製作には、通常1〜2週間掛かります。納期は、混雑状況や製作内容によっても異なります。
価格が高い
大量生産品の額縁に比べれば、どうしても価格は高くなります。
額縁のオーダー方法
額縁をオーダーする方法は、オーダー額縁サービスを行っている額縁店を利用します。実際に店舗に足を運ぶ方法と、最近ではインターネットを使ってWEBサイトから額縁をオーダーできるサービスも増えて来ています。
店舗でオーダーする方法
店舗で額縁をオーダーする場合には、可能であれば作品を持参しましょう。店舗にはV字型のフレームサンプルが多数揃っていますので、実際に作品にフレームを当てながら選ぶことができます。また、作品の採寸を店舗スタッフにお願いすれば、額縁のサイズ間違いなどが起こる心配もありません。
もしも作品を持参できない場合には、作品のサイズ、厚み、紙質などの詳細と、スタッフに作品のイメージを伝えるために、作品の写真を撮ってプリントアウトしたものを持参すると良いでしょう。実際に額縁を掛ける場所が決まっている場合は、壁紙の色や、インテリアの雰囲気などもスタッフに伝えると良いでしょう。
WEBサイトからオーダーする方法
近くに額縁店が無い方や、もっと手軽に額縁をオーダーしたい方のために、最近ではインターネットのWEBサイト経由で額縁をオーダーできるサービスがあります。
はじめに作品の採寸と、作品をカメラで撮影した写真データをパソコン上に用意しましょう。撮影した写真をWEBサイトに取り込んで、作品のサイズや厚みを入力します。額縁の完成イメージをパソコンの画面でシミュレーションしながら、フレームやマットを選ぶことができます。表面のガラス素材や、面金、二重マットなどのオプションを選択できるサービスもあります。
額縁のオーダー価格については、WEB上に見積もり金額が出るサービスと、シミュレーション結果をもとに店舗に見積もり依頼を行うサービスがあります。いづれのサービスも見積もりは無料なので、店舗でのオーダーに比べると気兼ねなく利用できます。
ただ、WEBサイトから額縁をオーダーする際は注意点もあります。採寸を正確に行う点と、フレームやマットの色味が実物と若干異なる点を考慮しておく点です。サイズ間違いは後から取り返しが付きませんので、オーダー前には必ず再度サイズの確認をしましょう。不安な場合は、メールや電話等で店舗に相談をしながらオーダーしましょう。
額縁をオーダーするポイント
作品の採寸を正確に行う
前述した通り、額縁をオーダーする上で作品サイズの採寸は非常に重要でスタート時点となります。作品の縦、横、厚みは正確に計り、オーダー前には再度確認するようにしましょう。
額縁は、採寸していただいたサイズより、約2ミリ程大きいサイズで製作します。額縁には「かかり」という部分があり、そこに作品が数ミリ隠れますのでご了承ください。かかりの幅は、棹材によって若干違いますが、約5mm程度とお考え下さい。
厚みがある油絵・日本画については強度の問題で紙製のマットを使ったサイズ調整はできません。マットの代わりにライナーを使用します。
また、ボールや陶器など、さらに厚みのある物を額装したい場合は、ボックスタイプの立体額での製作が必要になります。フレームによって製作可否があったり、作品の周りにどれぐらいの空間を取るかなど、注文の難易度が高いため、おおよその厚みを採寸の上、まずはお店に相談すると良いでしょう。
作品をどう見せたいかを決める
額縁をオーダーする前に、作品をどう見せたいかを明確にしておきましょう。例えば、「可愛く」「カッコよく」「渋く」「華やかに」「ゴージャスに」「ナチュラルに」「高級感を出す」「重厚感を出す」といった言葉のイメージが決まっていると、選択すべきフレームが絞り込まれてきます。
主なフレームの色
額縁フレームの色は、非常にたくさんの種類がありますが、大きく分けると以下のカラー分類に分けることができます。
主なフレームカラー
・ゴールド
・シルバー
・ブラウン
・ウッディ(木の色合いを活かしたもの)
・ブラック
・ホワイト
・カラー(赤、青、緑、ピンクなど)
まずは上記のカラー分類の中から使いたいフレーム色を決めましょう。作品にとって最適なフレームを少しずつ絞り込んで行くイメージを持つと良いでしょう。
主なフレームのデザイン
額縁フレームのデザインは、以下のような分類に分けることができまます。
主なデザインの分類
・シンプル
・デコラティブ
・アンティーク
・ナチュラル
・モダン
・シャビーシック
・かわいい
・和風
・和モダン
・POP
これらのキーワードをお店のスタッフに伝えることで、いくつか希望に近いフレームを選んでくれるでしょう。
太いフレーム・細いフレーム
額縁フレームには、同じ色、同じデザインで、30mmと50mmといった具合で、フレームの太さだけ違うものが結構あります。太いフレームと、細いフレームで、中身の作品の印象はかなり変わってきます。
30mm幅のフレームを使用した例
50mm幅のフレームを使用した例
太いフレームの場合は、安定感や重厚感を感じますし、細いフレームの場合は、すっきりした印象で作品により視線が向かうような効果があります。
マットの種類・色を選び
マットは、作品と額縁の間に入れて使います。マットは「作品と額縁のサイズが合わない時のサイズ調整」や「作品がガラス面に直接触れないように保護する」というのが主な役割です。その他には、「奥行きを表現したい場合」「マットで大きめに余白を取って広がりを表現したい場合」「カラーマットを使って、額縁とマットでカラーコーディネートしたい場合」などデザイン的な使い方もあります。
60mm幅のマットを使用した例
マットの表面は、紙製・布製、様々なテクスチャーがあり、色は無数に存在します。フレーム以上に選ぶのが難しいと思われると思いますが、デザイン的な目的でマットを使う場合でなければ、ホワイト、ブラック、ベージュ系のマット色を選べば良いでしょう。デザイン的にマットを使う場合については、作品やフレームの色に合わせて、マットの色を選ぶと良いでしょう。異なる色のマットを2枚重ねる2重マットや、作品をより目立たせるためにマットの内側につける面金という技法を使うと、更に凝ったデザイン表現をすることも可能です。
ダブルマットを使用した例
また、オーダー額縁の場合は、自由なサイズで額縁が作れるため、マット使わないという選択も可能です。
ガラスとアクリルの違い
額縁の中に入れる透明の表面カバーは、主に、ガラス製、アクリル製、UVカットアクリル製の3種類が存在します。それぞれの特徴は以下の通りです。
・ガラス:傷が付きにくい、安価、平面性に優れる、という特徴があります。
・アクリル:軽い、割れにくい、透明度が高い、という特徴があります。
・UVカットアクリル:アクリルの特徴に加え、紫外線によって日焼等の作品の劣化を引き起こしにくくする、という特徴があります。
作品が引き立っているかチェックする
フレームやマット選びは楽しいものですが、ついつい夢中になりすぎて、作品よりフレームが目立ってしまったり、お部屋に飾った時に額縁が浮いて見えてしまう場合があります。
額縁・額装の役割は、「作品を引き立てること」「作品とお部屋を上手くつなぐこと」この基本を常に忘れないようにフレームを選ぶことが、額縁選びで失敗しないコツです。
もしも、フレームの色、デザイン、太さなどを決める際に、迷ってしまった場合には、常にこの基本に立ち返って冷静に考えてみてください。自ずと最適なフレームが見えてくるでしょう。
額縁オーダー専用シミュレーターの紹介
高山ガクブチでは、店舗での額縁オーダーの受付はもちろんですが、WEBサイトから額縁をオーダーしていただける、「額縁シミュレーター」サービスも行っております。
こちらのページで紹介させていただいた、フレームやマット選びがWEBサイト上で行っていただけます。無料で何度でもご利用いただけますし、気に入ったシミュレーション結果は、画像やPDFでダウンロードできるほか、見積り依頼(無料)から、実際のご注文も可能です。額縁のオーダーをご検討中の方は、ぜひ一度お試しください。
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